声優学校で上級生を戦慄させた、演技力をつけるのに使った12の方法


声優学校で上級生を戦慄させた

こんにちは、鈴木健人です。

 

働きながら声優学校に通っていると、

授業日数の少なさ、授業時間の短さ、

そして自分の実力に焦りを感じて来ると思います。

 

実技を見てもらえる時間もほんの数分とあって、

先生に言われるのは

「もう少し頑張ろう」

「演技力がないと話にもならないから」

なんていう曖昧な言葉ばかり。

 

あなたもそろそろ

「頑張るって、何をどう頑張ればいいの?」

「その演技力をつけるにはどうしたらいいの?」

と思い始めているのではないでしょうか。

 

そこで、今回は

僕が声優学校に入る前から

演技力をつける為に実際にやっていた12の方法をお話しします。

 

(この出来事についてはメルマガ内で詳しくお伝えしていますが、

僕は声優学校に通っていた頃、

一度だけ上級生の中に混じってレッスンを受ける機会に恵まれました。

 

そして、僕が無意識に取り組んでいたこの練習方法がいかに有効だったかを、

図らずも知ることになったのです)

 

※非常に膨大な記事になるので、

このページをブックマークしておいて、

演技に行き詰った時は必ず読み直してください。

 

尚、ここで扱うのは全て

「効果的と言われている方法」ではなく

「やった上で効果のあった方法」です。

 

↓ちなみに、こちらは僕が出演した作品の1つです(2:32辺りから登場する金髪の少年をやっています)。

この記事が参考になるかどうかの指標として貼り出しておきます。

 

 

演技力をつけるには?

1.どこかで見た『似たようなキャラ』をイメージする

渡された台本に目を通したら、

まず自分の役が『どんなキャラクターなのか』をイメージします。

 

役のイメージすら持たずに

ただ台本に書いてある字面の通りに台詞を追っかけていくだけでは、

どんなに頑張っても「ただ読んでるだけ」となってしまいます。

 

また、

『どんなキャラクターか』というイメージも、

ゼロから生み出すことは出来ません。

 

そこで、

まずはどこかで見たことのある

『イメージの近そうなキャラクター』

を思い浮かべてください。

 

2.イメージしたキャラクターをそのまんま真似する

次に、思い浮かんだキャラクターを、

自分の役に当てはめてとりあえず真似してみます。

 

「誰かの真似になってしまうのが怖い」

と言う人も多いですが、本当に怖いのは

「あれもこれも避けてるうちに何も出来なくなること」です。

 

「真似をしてはいけない」

「誰かと似たような演技はいけない」

「完全オリジナルじゃなきゃいけない」

という思い込みに囚われている人は、

演技をしながらいつも

「あ、今のは誰かの真似だな……」

「あ、今○○さんを意識しちゃってたかな……」

と悩むことになりますし、

それらをいちいち回避していると、

最終的に『人間の演技』を避けることになるので

本当に変な演技しかできなくなります。

 

最初は『そのまんま真似』でOKです(個性はそのうち勝手に出て来るので)。

 

ここでは、似てるか似てないかは問題ではなく、

『今までの自分になかった引き出し』

『簡単にできるつもりでできなかった表現』

を発見することが目的と考えてください。

 

3.状況設定を考える癖をつける

『演技』とはそもそも

『状況設定に忠実な振る舞い』のことです。

『台本をいい声で読むこと』ではありません。

 

例えば、

「おやすみなさい」

という台詞1つ取っても、

自分が寝ようとしているのか

相手が寝ようとしているのか

で言い方は全く違います。

 

また、相手が親なのか恋人なのかでも違いますし、

家の中なのか旅先のホテルなのかでもまた違います。

 

その違いを体現する為にも、

まずは状況設定が頭の中で明確になっていなければ始まりません。

 

4.状況設定に忠実な『呼吸』を意識する

わざわざ呼吸について言及するのは、

呼吸が演技の質を大幅に左右するからです。

 

僕がかつて劇団に入ったばかりの頃は、

驚いた時、怒っている時、嬉しい時、等々

あらゆる感情状態を全て

「台詞の言い方」

で表現しようとしていました。

 

しかし、台詞にどれだけ力を入れても

演技講師や劇団の仲間達は

つまらなそうによそ見しているか、

若干引いてしまうばかりでした。

 

そんなある時、

「人は状態が変わると呼吸が変わる」

ということに気付き、

芝居が一気に楽になりました。

 

それ以来、例えば

「たった一言の台詞で”怒り”を表現してみて」

と言われたら、

僕がその一言を発する前に

全員がハッと顔を上げてこちらに注目するようになりました。

 

それは、

『怒っている時の呼吸』

が、まさにその場の空気を変えてしまう為です。

 

それくらい、『呼吸』の力は強いのです。

 

 

5.激しい感情は『吐き出す』より『抑える』ことを意識する

それに関連して、

感情的になるシーンでは

必死になって激しく感情を吐き出そうとしていたのが

実は全くの逆効果だったことが理解できました。

 

激しい感情というのは、

実際には『抑える』ことでこそリアリティーが生まれます。

 

例えば、こんな場面を想像してください。

 

―――――――――――――――――――――

あなたの父親はとても厳しい人で、

あなたの一挙手一投足を細かく指摘し、

いつも心ない言葉を投げかけます。

 

ある日、あなたはそんな父親に認めてもらおうと、

こっそりお金を貯めて

高価なネクタイピンをプレゼントします。

 

しかし、父親はあなたが努力したことを信じず、

「盗んで来たんだろう!」

と怒鳴り散らします。

 

続くあなたの台詞は

「なんで? なんで?」

とあり、更にト書きで

「父親の胸ぐらを掴む」

と書かれています。

―――――――――――――――――――――

 

この時、演技に慣れていない人は

「なんで!? なんで!?」

と、突然ヒステリックな声を上げて

相手役に掴みかかり、次の台詞を待って

止まってしまいます。

 

そういうキャラ付けがされているならともかく、

通常「突然キレる人」は

演技の上でも共感を呼びません。

 

逆に、演技の上手い人は「激しい感情は抑える」ことを最初に意識します。

 

例えば、怒鳴られてすぐに「なんで?」と返すのではなく、

相手役の目をまっすぐ見て一瞬絶句した後、

「……なんで?」

とつぶやき、それからいたたまれなくなったように

「なんで……!」

と掴みかかります。

 

もちろん一例ですけれども。

 

※「声優の場合、体の動きは関係ないですよね?」と思うかもしれませんが、

上手い声優は動こうと思えば動けます。

反対に、動けない人は声だけの演技も下手です。

 

要点をまとめると、

感情を激しく吐き出す演技は、

『抑え切れない』か『抑える必要がない』

(よく喧嘩する相手だったり等)状況でのみ成立します。

 

激しい感情は反射的に抑えるのが人間です。



6.過去の大まかなエピソードを考える

役の人物がどんなふうに生きて来たのか、

台本にない過去のエピソードをざっくりと考えます。

 

これは、役の性格(人物像)を自分の心に落とし込む為の

重大なプロセスです。

 

取っ掛かりとしては、

「子供の頃こういう性格で、こういう目に遭ったから、こういう大人になった」

くらいざっくりで大丈夫です。

 

そこまで考えたら、実際に演技をしてみて、

自分の中でしっくり来るかどうか確かめます。

 

先日、アプリゲームの『憂国の大戦2』で

レアキャラクターのCVを担当させていただいたんですが、

そのキャラクターはとにかく

『力』にこだわる性格でした。

 

僕はそこで、

「なんでそこまで『力』にこだわるんだろう」

と考え、

「幼少の頃、体が弱いことで散々いじめられて、生きていく為に強くなるしかなかった。それで、誰かに力で追い越されるのを今でも心のどこかで無意識に恐れている」

というふうに解釈しました。

 

これは、特にそういう設定が与えられている訳ではなく、

役者自身が迷うことなく演技をする為の準備であり、

演じる本人が作らなければならないものです。

 

また、もしかしたら続編などで

役の過去が明かされたりして、

この時に作ったエピソードが否定されることもあるかもしれませんが、

そこを気にする必要はありません。

 

ちょっと例が古いですが、

『魔法少女まどか☆マギカ』のキュゥべえは

「感情がない」という設定でしたが、

作中でそのことが描かれるまで、

担当声優の加藤英美里さんは

普通に感情剥き出しで演技していました。

 

大事なのは、『演じる際に自分が迷わずに済むこと』であって、

「今までの(役の中の)人生は全て本当にあったことなんだ! だから矛盾があってはいけないんだ!」

と自分に言い聞かせることではありません。

 

7.台本にない場面を作る

先ほど作ったのは役の『大まかな過去』です。

それに対して、今回作るのは『具体的な場面』です。

 

これは、役の人物が大切にしている価値観を裏付け、

自分の心の中に深く印象づける為の作業です。

 

先ほどの『憂国の大戦2』の例で言うなら、

「いじめられている場面」や

「強くなることを決意する場面」、

「初めて『力』で勝つ場面」など、

その人物のターニングポイントになるような場面

頭の中で作ります。

 

この作業がしっかり出来ているかどうかで、

感情の動き方に雲泥の差がつきます。

 

作った場面を実際に演じてみるのもいいと思いますが、

僕はそこまでやることは滅多になく、

ほとんどは頭の中で体験するだけです。

それだけで効果は充分感じられます。

 

また、その場面の文脈や細かい設定などを

具体的に考える必要はありません。

 

それよりもっと大切なのは、

きちんと感情を伴って体験することです。

 

 

8.役の思考で生活してみる

状況設定や過去の出来事について考えるのに慣れて来たら、

日常生活を『与えられた役の思考で』送ってみることも

役にすんなり入っていく上で非常に効果的です。

 

行動まで完全に変えると

生活そのものを変えることになってしまうので

あくまで思考だけで大丈夫です。

 

また、「役の思考で生活する」と言っても、

性格が変わるほど入り込む必要もなく、

ほんの数文字程度のモノローグを

役の口調に置き換えてみるだけで充分です。

 

これを、思いついた時に、

抵抗なくやれる範囲でやります。

 

ちょっと細かすぎるかもしれませんが具体例を書くと、

例えば蚊に刺された場合、

いつもだったら「あ、蚊がいるんだ」くらいしか思わない所を、

その時取り組んでいる役に応じて

「野郎、俺の血吸いやがったな! ぶっ殺してやるぜ!」とか

「また抜かりのない奴がいたものだ」とか考える訳ですね。

 

一見くだらないことをやっているようですが、

これを常時やっている人と

恥ずかしくて出来ない人とでは

当然本番でも明らかな差が出ます。

 

9.相手の演技を心から受け入れる

相手役との掛け合いの際、

正直「この人下手だな」と思うことは多々あると思います。

 

また、そうなると今度は自分の演技も冷めてしまって、

お互いにグダグダになってしまうこともよくあります。

 

確かに、乗っかりやすい相手もいれば

その逆の相手がいるのもまた事実です。

 

しかし、相手がこちらの演技を上手く引き出してくれることに期待してはいけません。

そういうことは稀ですし、相手の方も

あなたが引っ張ってくれた方が楽なのは間違いないからです。

 

そして何より、

相手のどんな演技もすんなり受け入れるようにすることで、

自分の演技が一本調子にならずに済みますし、

引き出しを増やしたり、柔軟さを培うことにも繋がります。

 

また、演技とは楽しいものです。

まして練習の場で人の上手い下手を気にするのは

あまりにも不毛なことです。

 

10.1つの台詞を何パターンか試す

役作りをしっかりして来たつもりでも、

実際の演技が自然と1つのパターンに絞られて、

しかもそれで完璧ということは滅多にありません。

 

たった1行の台詞でも、

パターンを変えて何回か演じてみると、

思いがけずしっくり来ることが多々あります。

 

語調を強くしてみたり、トーンを上げてみたり、

些細なことでいいので、

設定を破壊しない範囲で色々と試してみてください。

 

11.違和感を解消するのに必要なものを見つける

どんなに演じやすい役が来ても、

「1シーンだけ上手く行かない」

「一言だけしっくり来ない」

ということは結構あります。

 

そんな時は、

何かを見落としているので、

その「何か」が何なのか見つけ出し、明確化しましょう。

 

そういう盲点の多くは『他の役との関係性』にあります。

 

台詞を投げかけている相手と自分の役との

普段の付き合い方や、

その場面における物理的な位置関係などが不明確になっていると

演じていて違和感が出て来るのです。

 

なので、違和感を感じたら

『何がわかればスッキリするか』を考えましょう。

 

こういった問題を曖昧なままにしておく癖がついてしまうと、

演技力を身につけることは難しくなります。

 

12.自然な変化に従う

長い台本を通しで録音して、後から聴いてみると、

最初と最後で全然違う演技になっていることが時折あります。

 

そんな時は、無理に戻そうとせず、新しい変化を採用します。

それこそが「自然と受け入れられた」演技だからです。

 

もちろん、『途中から無意識にいつもの自分に戻っていた』

ということであれば、

それは役作り自体が全く出来ていないので、

このページで紹介している方法(特に6~8)を

再度試してみてください。

 

13.出来るだけ人に見せてフィードバックをもらう

『12の方法』というタイトルなのに

13番目を思い出してしまったので、急遽追記します。

 

演技力というのは、

ものさしや体重計で測ることができません。

 

なので、練習する際はなるべく自分の演技を録音しておいたり

何らかの形で記録に残るようにし、

それを誰かに評価してもらってください。

 

適切に自己評価が出来ることも大切なスキルですが、

最終的にあなたの演技が上手いかどうかを決めるのは

第三者です。

 

「精進します」

「頑張ります」

と言いながら、自分の演技を積極的に表に出せないようでは

演技力云々の前に、気持ちで置いて行かれてしまいます。

 

声優になれず、挫折した人達は

「実力で負けた」のではなく

「気持ちで負けた」側面の方が強いように見えます。

 

(埋もれてしまった人の中にも

演技の上手い人が大勢いるのは、

こういう要因も少なからずあるのではないでしょうか)



まとめ

この記事を熟読してくれたあなたは、

今回お話しした方法のほとんどが

思考訓練であることに気が付いたと思います。

 

したがって、これらはお金と時間に余裕がなく、

家の中であまり大きな声を出せないあなたでも

毎日気軽に取り組むことができ、

しかも同期生との演技力に絶大な差をつけるものです。

 

僕が思うに、演技の練習とは、

「どう表現するか」より

「『考える』ことがいかに当たり前になっているか」

の方が遥かに重要です。

 

とはいえ、楽しくなければ上達しないのもまた演技の特徴なので、

あまり難しく考えず、

やっていて「楽しい」と思えるやり方で演技に接し続けることこそが

演技力をつける最高の方法と言えるでしょう。

 

【追伸】

メルマガでは、声優学校での裏話や、

声優が演技力以外の面で求められる、

意外な(それでいて欠かせない)スキルについてお伝えしています。

 

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